救えたはずだった。


救えたはずだったのに。


どうして あの時


私は手を伸ばすことができなかったのだろう。















【それでも世界は流れていく】















それは 私が生まれて間もない頃の出来事だったわ















「おなか…すいた……」








目の前で 請うような視線で


私を 見つめている


少し やつれたリヴリー。



放浪先で出会ったこのリヴリーは



どうやら 暫く何も口にしていなかったらしい。








「ちょっとまって…これを…!」








私は テントウムシを一匹掴んで



そのリヴリーに食べさせようとした。











その時だった。










「待って下さい。」









後ろから、誰かの声が聞こえた。












「そのリヴリーに 餌を与えることは 僕が許しません。」












そこには ムシクイが立っていた。



この島に住んでいるムシクイだ。
















「だって…こんなにお腹が空いているみたいなのに!」







「それでも です。そのリヴリーに餌を与えることは許しません。」







「どうして…この子が死んでしまっても構わないの!?」







「そういう訳ではありませんが…」







「コレは、僕の主人の希望です。」







「希望…?」







「僕は、その場にある虫を全て処理することが仕事。」










「僕をここに置いていったと言うことは」













「主人は、ほかの誰かの手によって、このリヴリーに餌を与えられることを望んでいません。」













「でも…」







「大丈夫です。時期に主人が来ます。」







「本当に…?」







「ええ。だから、このリヴリーは死んでしまったりしませんよ。」







「そう…なら、いいの。」







いつもそうなんです、と、微笑む彼に




これ以上 何も言い返せなかった私は




大人しく その島を後にした。




その時 あのリヴリーが私に向けた視線




深い悲しみがこめられた視線が




今でも 忘れられない。














その後、あの島にもう一度行ってみた。




すぐに後悔した。




見に来なければよかった。




そこには もう あのリヴリーはいなかった。




そこには 小さなお墓と




あの ムシクイだけが存在していた。









「これが あなたの主人が望んだことだったの?」









「……………。」









彼は 何も言わなかった。









私も 何も言えなかった。

























そのころの私にとって





それは 本当にショックな事件だった。





じゃあ 今だったら?





私は あの時ほどの衝撃を受けるのかしら。














「慣れって、怖いわよね・・・?」














少しだけ 悲しくなった。









ちょっぴり実話(ぇ)始めたばかしの頃の思い出です(嫌)
ムシクイいると餌あげられないよね!っていう愚痴話です(違)
始めたばっかりの私にはとてもショッキングな事件ですた
危ない時くらい見逃してくれたっていいじゃないか!ムシクイさん!ヽ(`д´)ノ



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送